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Channel: PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS – WELLPLAYED JOURNAL【ウェルプレイドジャーナル】
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「すべては楽しむために」OWからPUBGへ移ったDepの事情

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■前編記事

PUBGでも狙い撃て Depの神エイムはこうして生まれた

もっと倒せる DPSへの強いこだわり

――SCARZに所属して間もなく、「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS」(以下、PUBG)のスクリムで5試合21キルという記録をいきなり出したわけですが、そのときの率直な気持ちはどんな感じでしたか?

Dep:
うーん……もっとできるなって。

――やった! と盛り上がったりは?

Dep:
あまり喜ばないんですよね。リアクションもほとんど取らないです。

――クールなんですね。

Dep:
というか、そういうのはどうでもいいかなって感じですね。まだまだいける、もっと倒せるなっていう意識のほうが先に出てくる感じ。

――ストイックですね。では、チームメイトともそういうやりとりは?

Dep:
チームメイトの方からハイタッチとかしてきたらもちろん返しますけど、自分からはやらないですね。まぁ、オレがそういうキャラだともいっさい説明していないんですけどね(笑)。

――このインタビューで明らかになりますね(笑)。そういえば、今チームでいっしょにプレイしているBONON(ボンオン)選手やFe6ye(フェイ)選手は、Dep選手と同じく「OVERWATCH」(以下、OW)をプレイしていましたね。彼らとの関係はいかがですか?

Dep:
OWのことはよく話したりはするんですけど、真面目な話よりは普通の会話の方が多いです。韓国サーバーのランクマッチに行ったときに面白いプレイヤーがいたね、みたいな。

思い出話とか昔話って感じかな。

――OWをプレイしていた経験がPUBGで活かされていますか?

Dep:
タンク(※)役とかは活かされていますね。タンクを前に行かせて弾を受けてもらう。

※タンク:FPSやMOBAなど、役割分担(ロール)の要素が強いオンラインゲームで最前線に立って盾役となる人のこと。味方の代わりにダメージを引き受け、なおかつ倒されにくいタンクは優秀

――PUBGにもタンク役が?

Dep:
いますね。最初に突っ込んで倒される役をやってもらいます。OWでもタンクだったBONONさんはPUBGでもタンクですよ。そこは共通点って言えますね。

――ゲームタイトルの枠を越えても役割は共通なんですね。

Dep:
そうですね。オレはもちろんDPS(※)です。プレイスタイルが定着してるっていうのは、ゲームが変わってもありますね。

※DPS:本来の意味は、Damege Per Second の略で、1秒あたりに与えるダメージ量のこと。転じて、ゲームの中ではより多くのダメージを叩き出す火力を備えた職業やキャラクターのことを指す

――PUBGではチームメイトから武器を譲ってもらうことがあるとお聞きしましたね。逆に、タンクのBONON選手にアーマーを渡したりはしますか?

Dep:
それはないですね。むしろアーマーは自分が優先です。DPSが率先して倒されるのを防がなきゃいけないですからね。

――PUBGはOWのようにヒーローによって能力が違うわけではないので、タンク役の存在に素直に驚きましたが、どんな展開になるのでしょう。

Dep:
たとえば民家に籠城してる敵チームがいて、そこに突っ込むしか選択肢がないって時に、敵から一方的に撃たれるのを覚悟で最初に突っ込んでいくのがタンク役ですね。

突っ込むのに順番があるって感じかな。その順番を予め決めて動くんですよ。それはOWも同じですよね。BONONさんはPUBGではラインハルト(※)じゃないけど、気持ちはラインハルトなんです(笑)。

※ラインハルト:OWに初期から存在するタンクヒーロー。大型の盾を展開し、敵の攻撃を防ぎながら戦線を維持する。接近する相手には強烈なハンマーの一撃を叩き込める

調子を上げるためなら何だってする全力の姿勢

――PUBGとOW以外に好きなゲームはありますか?

Dep:
「League of Legends」(以下、LoL)ですね。意外に思われるかもしれないけど、OWで知り合った友だちに誘われたのがきっかけで遊び始めました。

OWはFPSなんだけど、集団で動いたりタイミングよくスキルを使ったりとか、MOBA的な要素が強いFPSなんですよ。

――LoLでも、選ぶチャンピオンはDPSですか?

Dep:
もちろんそうです。ザヤ(※)って女の子……というかお姉さんを使ってますね。めっちゃかわいくておすすめです。

※ザヤ:羽根を用いた多彩な攻撃が魅力のチャンピオン。発射した羽根はフィールドに残り、自身に向かって呼び戻す際にも攻撃が発生するため、位置取り次第で高火力も期待できる。ラカンという別のチャンピオンとの連携で強化される点もポイント

――PUBGでも自キャラを女性に?

Dep:
女性を選びますね。ビジュアルのいいキャラが好きなんで。でも、黒人の男性とかもかっこいいのでたまに選びますよ。

――OWでは、トレーサーやウィドウメーカーといった女性キャラを使っていましたし、もしかしてリーパー(※)あたりは苦手?

※リーパー:OWに初期から存在するダメージヒーロー。2丁のショットガンを同時に使いこなす火力と、死神のように姿を消したり瞬間移動する能力で奇襲を得意とする

Dep:
無理です(笑)。リーパーもDPSだけどビジュアル的に使わないですね。見た目もモチベーションにつながるから大事にしてるんですよ。ただ、ゲンジは男だけどめっちゃ使ってました。

――ゲーム以外の趣味とかルーティンでしていることはありますか?

Dep:
ルーティンか……大会のある日はなるべく辛いモノ食べてから行くようにしてます。

――どういういきさつで?

Dep:
オレがすごいと思ってるNeoNinjaさんというプレイヤーがいるんですが、大会の前に唐辛子をかじるって言ってたんですね。

――えっ、唐辛子を!?

Dep:
めっちゃいいよっておすすめされて、とりあえずオレもって(笑)。ただ、唐辛子はさすがに辛すぎるので、他の辛いもの食べるようにしてますね。蒙古タンメンとか。

――辛いものを食べると調子がよくなる?

Dep:
まぁまぁですね。言われてみると確かに、って感じはします(笑)。

――ほかに、趣味のほうでは何かありますか?

Dep:
趣味はやっぱりフラグムービー作りですかね。動画作るの好きなので。

――ゲームに関連していくんですね。動画を見るのも好きということですが、eスポーツのオフライン大会に遊びに行くことはありますか?

Dep:
配信を見ることはありますけど、自分が大会に出るとき以外に会場に行くことはないですね。

――他のタイトル、たとえばLoLのリーグ「League of Legends Japan League」は、ファンと直接触れ合う時間があったりしますけど、PUBGにはそういう時間はありますか?

Dep:
自分はまだ3回くらいしかPUBGのオフライン大会に出たことがないので詳しくはないんですけど、東京ゲームショウのような単発のイベントでなら交流はできるかもしれないですね。

現状のPUBGのオフライン大会だと、同時にプレイするチーム数も多いので、選手は関係者以外立ち入り禁止のスタジオに入っちゃうから、なかなかそういう機会は少ないですね。

――Dep選手個人としては、そういうファンとの交流に興味は?

Dep:
配信やTwitterとかで十分かなとは思いますね。来てくれるのはすごくありがたいんですけどね。1人ずつ丁寧に対応する時間が取れないのが申し訳なくて。

OWのときに1回ファンの方と話すことがあったんですけど、時間が短いと内容が適当になっちゃうから。せっかくならガッツリ話したいじゃないですか。

――これからのeスポーツシーンや業界に求めるものはありますか?

Dep:
今の業界にはけっこう満足してはいるんですけど、業界っていうかPUBGにほしいものはありますね。

今でも「Counter-Strike: Global Offensive」(以下、CS:GO)が好きなんですけど、その理由の1つが5人対5人の爆破ルール(※)なんですよ。

もちろん、PUBGの基本が1デスで終わりっていうのがあるのはわかってるんですけど、爆破ルールだとリスポーン(復活)が無限じゃないですか。それって敵を倒し放題ってことなので、自分の強みを出せますよね。

※爆破ルール:FPSでは比較的定番の対戦ルールのひとつ。一方のチームは爆弾を設置して起爆させたら勝利。もう一方のチームは爆弾の設置および起爆を阻止できたら勝利となる

――なるほど、とにかくひたすら敵を倒したいと。

Dep:
そうです。実はCS:GOの大会にも一度出たことがあるんですけど、そのときはめっちゃ倒しましたね。キル数見ただけで気持ちよくなるくらい。

ゲームってまず楽しむことが大事

――少しさかのぼりますが、CYCLOPS athlete gamingのOW部門が解散になったとき、ほかのチームに入ってOWを続ける選択肢はなかったでしょうか?

Dep:
それはなかったです。何しろ、自分がいたチームが日本で一番強いチームだったので。

それよりも、OWをやめた理由で大きかったのはメタ(※)でした。専門用語ですけど、ゴーツ(GOATs)・ドーツ(DOATs)構成っていうタンク3人とヒーラー(回復役)3人のメタが流行りだしたときに、自分には合わなかったんですよ。

※メタ(META):OWのプロチームの間で主流になっている戦略・戦術のこと

――Dep選手といえば高いエイム力ですし、プレイスタイルがDPSですからね。それらの構成にはDPSの席がなかったわけですね。

Dep:
もともとはトレーサーが好きで、当時のチームではウィドウメーカーも使うようになって、どちらもDPSだからプレイし続けられたんですけどね。

タンクとヒーラーのみのゴーツ・ドーツ構成が流行ってしまってからは、それには同じ構成をぶつけるしかないっていう当時の結論みたいなのがあって。

――ショックは大きかったです?

Dep:
うーん、まぁOWでやれることはやったかなと。個人的には別のゲームに移ってもいいなと感じていたところでもあったので、ちょうどよかったかもしれないですね。

ただ、単純にプレイスタイルにこだわりたい自分としては、楽しくなくなってしまった部分は正直あります。

――ゲームプレイの戦略や戦術、その流行り廃りが選手の引退にまで影響を及ぼすということでもあるわけですよね。

Dep:
PUBGに移れたことで、やりたいことを実現できているのはよかったです。それにやっぱり楽しい。ゲームってまず楽しむことが大事なんですよね。むしろ、それがすべてな気がします。

――Dep選手にとってeスポーツの競技種目としてのPUBGはどんなところが熱いですか?

Dep:
割りとどのチームにもワンチャンがあるかなってところですかね。PUBGって完全実力主義のゲームじゃないから。

――今日のインタビューでもよく出てきた「運」があるという。

Dep:
OWとかに比べると運の要素が強いですからね。だから、誰にでもチャンスがあるんですよ。

でも、そんな誰にでもワンチャンある、運も味方にしなきゃいけないPUBGで、安定した結果を残したいっていうのが俺の挑戦なんです。

――PUBGを次の主戦場に決めた理由は何でしょうか?

Dep:
OWをプレイしていた頃に、息抜き程度で友だちとPUBGを遊んでたんですよ。実はそのときからけっこう上手く動けるなっていう印象があって。OWをやめてゲームを変えるなら、すでにいい印象を掴んでいたPUBGがいいなって。

いつでもPUBGの競技シーンに出られるんじゃないかとは思っていたんです。なので迷いはなかったですね。ほかのゲームを探すこともしなかったくらい。

――PUBGとOWはかなり毛色の違うゲームですから、他にもOWに比較的近いゲームがありそうだなとも感じたのですが。

Dep:
たとえばLoLもプレイしていたんだけど、ゲームのジャンルはMOBAじゃないですか。MOBAって経験の差をそう簡単には埋められないんですよね。

――経験の差とは?

Dep:
MOBAにはエイムの要素がないですよね。自分はエイムが得意だって自覚があるから、ずっとプレイしてきてる人たちとの経験の差をエイミングで埋めたい。でもLoLだとそれが難しいんです。FPSならエイムを武器にできますからね。

自分の持っているスキルとかポテンシャルとか、最大限に活かせるゲームがPUBGだなって、わりとそこは冷静に決めましたね。

――そんなDep選手が、DPSにこだわる理由やきっかけはありますか?

Dep:
なんだろう……オレが優先されるってところかな。これまで生きてきて縛られるようなこともなかったし、自由に生きてこれたことは影響があるかもしれませんね。

シンプルに自分が気持ちよくなれるってことが大事だなとは思ってて、そうなると自然と誰かをサポートするよりは、サポートされる側にいることが多い気はします。

――Dep選手のそんな考え方とか、今の在りかたって一際光っていると感じますけど、チームではどう受け入れられているのでしょう。

Dep:
まずチームのメンバーと仲がいいですからね。仲の良さって大事ですよ。オレのやりたいことをわかってくれてるのがすごく大きい。独りよがりで自己中心的な感じの「オレが気持ちよけりゃ他はどうでもいい」っていうのとはまったく違ってくるんですよ。

――この堂々と言い切ってくれるあたりの頼もしさがしっかりチームに伝わっていて、そんなDep選手を全力でサポートしてくれるメンバーたちがいるということですね。

Dep:
最高っス、ホントに。


写真撮影に行く道すがら、OWファンなら耳を疑うようなジャンクラットでファラを倒す驚きの方法なども気さくに教えてくれたDep選手。韓国のプロプレイヤーには、こうしたネタのような戦術を楽しむ余裕みたいなものがあって、それが好きだとも語っていた。

そのときの彼の笑顔も忘れられないし、インタビューの最後のひと言にも明確な実感がこもっていた。そこから見えてくるのは、楽しむためなら何だってやるべきだという強い信念。

キャラクターの容姿すらモチベーションに変え、DPSへのこだわりのためなら競技種目も変え、辛いモノだって食べる。

PUBGを主戦場に、敵を倒しまくることに全力を注ぐDep選手の存在感。そのとんでもない火力が、日本のeスポーツシーンをますますヒートアップさせることは間違いないと確信した。

写真・大塚まり


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